DOMMUNEスタジオ水没について

http://www.dommune.com/20150910/


先日の関東集中豪雨によりDOMMUNEスタジオが水没。


ちょうどその時Twitterにログインしてて、DOMMUNE関連のTLをちょっとしたお祭り感覚で眺めてしまっていたがこんな大変なことになってるとは。


僭越ながら今春出演させて頂いた時感じた


良い演奏をなるべくタイムレスで、高画質高音質で配信出来るよう絶え間無い努力に裏打ちされた技術的なこと、


出演者自身が気持ちよく演奏出来るよう気遣われた素晴らしいサウンドシステム、


何よりスプリンクラーが作動すれば全機材がダメになるのに機材を燃やしても許してくださったスタッフ様の優しさ、

それは勿論燃やしてなくても本当に優しく、良いものをクリエイトすることにとにかく真摯な素晴らしい方々でした(宇川さんはオーストラリアに行かれた為ご本人にお会い出来なかったことが残念でしたが)。


そういった素晴らしい配信環境を目の当たりにして僕はDOMMUNEは何て素晴しいんだといたく感動しました。


僕は海外に出てからよくDOMMUNEの話をします。というのも海外の人も結構知ってる人多いっていうのと、やはり僕自身思うんですがBoiler Roomに全くもって劣らない素晴らしい音楽ストリーミングサービスだと思うからです。あれ観るのタダなんだぜ!絶対頭おかしいよ。


ゴルジェだってDOMMUNEがあると無いとじゃ全く違ったことになってた。これは絶対にそうなんだ。第一僕自身DOMMUNEが無けりゃゴルジェなんてやってなかった。DOMMUNEは僕の人生を変えたんだ!!!


DOMMUNE関係者様各位、

今回の件については本当に大変でしょうが、一ファンとしていち早くの配信復帰を願うと共に宇川さん並びにスタッフの皆様にどうかご無理をなさらぬようと思います。


てかリンク先で宇川さんが言及されてるボヤ騒ぎってもしかして俺のことじゃねえのかw!?


古賀 数規

PUNCH&PERMS

「ind_frisは今まで会った人の中で5本の指に入る良い奴なんで」

 

 

 

今年の2月、久々に会ったオカダダさんは僕に会うなりいの一番にフリス君の話を始めた。

 

 

 

フリス君に初めて会ったのは2014年の1月2日。

僕は翌日に控える「JUKE VS GORGE DAY IN NAGOYA」のために前日に名古屋入りしてSeiho君やオカダダさんの出演する「ANTHEM」に遊びにClub MAGOへ行っててそこで紹介されたんだ。

その時はそんなに大した話もしてなかったんだけど、

それから約半年後、もうちょい後だったかな。

フリス君は仕事の転勤で僕が住む小倉へ越してきて僕がいつもお世話になってるHIVEで再会した。

 

それから何度もHIVEで一緒に遊ぶようになり、

一緒に曲作りましょう!なんて話も出てこの4月からPUNCH&PERMSを結成、スタジオに入って作業を始めた。

 

 

 

自分自身バンドマン辞めて以降、複数で曲を作ることもなかったししかも最近ありがちなネットを介さないオフラインで、しかもマシーンオンリーということがとても新鮮だった。

 

制作は各自が何らかのネタやアイデアを持ち寄って、それを二人で肉付けしていくという割とオーソドックスなもので、

面白いのは僕はネタやアイデアに対してフリス君が入れる隙間を残すために真ん中にくるような音色やフレーズを避けて補助的な音色を入れていくんだけど、

そんなことやってたらもうフリス君は自分の機材の中で完成しちゃうくらい沢山の音色をバーッと敷き詰めちゃうんだ。

 

そのおかげでお互い自分のフレーズを作り終えたらもう楽曲自体はほぼ完成してる。

んでそこからいくつかのパートを削ったり少し編集して構成を話し合えば形になる。

だからPUNCH&PERMSは3時間のスタジオセッションで毎回3曲くらいできてしまうんだ。

 

自分一人で曲を作っていると「あの音がーこのEQがー」ってなって中々完成まで時間がかかってしまうものなんだけど

お互いのノリ一発っていうか、フリス君のセンスが本当に良くて自分では絶対入れないようなパートが飛び出てくるのが面白すぎるし、

逆にフリス君も結構僕に任せてくれるからというか、信頼し合ってるというと大袈裟だけど、

お互い同じ時間軸でフラットに作ってる曲の奥深くへ入り込んでいって、そこでセッションしてるから本当に「話が早い」んだ。

 

DTMでは常にグリッドに縛られるから楽曲を横軸で見てしまうというか、ついついx軸y軸で音楽を扱ってしまうんだけど、

マシーンで、しかも二人が顔を突き合わせて曲を作ると僕らは楽曲の奥深くへダイブすることができる。

 

自分がマシーンを操作してるわけでもなくDTMのようにふと気付くと自分が操作されてしまうわけでもなく、

 

僕らはスタジオの中でまるでマシーンと一体になっているかのような感覚を掴むことができる。

 

これは本当に大きな事で、今日リリースしたEPも一聴すると何てこと無いテクノやハウスに聴こえてしまうかもだけど、グリッドや小節数に縛られないから自分らの感情赴くままに展開できる。

マシーンミュージックなのにとてもエモーショナルなんだ。

 

 

 

 

複数で音楽を作ることに対しここ何年かナーバスだったこともあったんだけど、このユニットでこれだけ上手くいったのは結構フリス君の人柄もあるんだよな。

なんか絶妙なんだよ。あの付かず離れず感が。ナイスガイ!

 

punchperms.bandcamp.com

Alleingehen2.0 SET

「映像を音楽に同期させたライブ」

 

こうして文字に起こしてみるとオーディオ&ヴィジュアルインスタレーションなんて最早使い古された印象を受けてしまう今日。

 

CDが売れなくなった分ライブの動員数が増えてるなんて記事も最近見かけないが、そんな記事のひとつに書いてあった

「所有する喜びより、体験する喜びに価値を見出す時代」

なんてフレーズが妙な引力を放っていて、多分僕はその記事を読んだ時からいわゆる「映像を音楽に同期させたライブ」に対しての意識が変わった気がする。今思えばね。

 

Amon TobinやFlyng Lotusが革新的な手法でオーディオ&ヴィジュアルインスタレーションを行う中、普通に2本のスピーカーからだけの表現法じゃもう足りない時代なのでは?

そんな焦燥感や劣等感にも似た感情が頭の隅にずっとあったけど、僕は彼らのように大きなプロジェクトなんて出来るお金も話題になるような知名度も無いわけで。

でも今はソフトも安いしひとたびネットブラウザを開き検索ボタンをクリックすればある程度の情報なんてそこらじゅうに転がってるこの時代に「とりあえずやってみよう」と思わないことはとても損なことなんじゃないかと強く思い重い腰を上げオーディオ&ヴィジュアルという未開のルートへ足を踏み入れた。

 

3月に発表したフルゴルジェアルバム「Alleingehen2.0」は映像を同期したライブを前提に制作した作品で、全ての楽曲が完成しBandcampにアップロードし終えるとすぐに映像の制作に取りかかった。

セットのイメージは霧が立ち籠めた山頂で単独行クライマーが見た幻覚のような映像・サウンド。スモークを焚きまくりそれをスクリーン代わりに映像を投影するという手法。

新作ライブセットのお披露目は月末のリリースパーティだ。

 とはいっても僕はその瞬間まで映像制作に触れたことがない全くの素人なわけでそんな簡単に映像を扱えるはずもなく、持ち時間45分の映像制作は恐ろしく大変だった。

 

 

 

まず僕は映像をどうやって出力するかを考えた。

単独登攀という意味の「Alleingehen2.0」を冠した新作セットは映像・楽曲全てを一人で現場管理していくのが前提であり、映像担当のサポートメンバーを用意できない。

MacBookProをもう一台買ってそれにVJソフトをインストールさせて〜なんてことは予算がかかりすぎて出来ないし、Ableton Liveを動かしつつバックグラウンドでVJソフトをReWireで立ち上げて〜なんてのもかなりコントロールが大変そうだ。というかそんなシステムを構築しつつVJソフト扱えるようになるには時間が足りなさすぎる。

 

そこで僕が考えたのはAbleton Live付属のMax for Liveで映像出力パッチを構築し、Ableton Live上でセットに寄り添う形で45分のメイン映像を走らせ、要所要所で飛ばし系映像やエフェクトを加えて行くというものだ。

早速Max for Liveでパッチを構築していく。この作業も初めてだったんだけど、インターネットって最高だね。ネット上には数々の有志たちがたくさん自作パッチを公開してるフォーラムが沢山あって、それらに手を加える形でなんとか完成。

 

次に取りかかったのは一番重要な映像素材。

映像素材を売ってるサイトで自分の好みの素材を探すんだけど、これが結構な値段するんだ。10秒の素材に7、80ドルなんてのも珍しくない。こんなんじゃ45分の映像を作るのに一体いくらかかるんだと思ったところにまたしてもインターネットの恩恵が!

Vimeoには沢山の有志によって公開されたFree VJ Loopの山!

本当はダメなんだけどメインはそれらを使うことに。色々な検索ワードを駆使してとにかく時間をかけて自分の理想に近い映像を集めまくった。ゴルジェならではの山や岩の素材や僕が大好きなコンテンポラリーダンスなんかも探したな。

でも実は結構落とし穴があって素材によっては画質が悪かったり、16:9のハイヴィジョン素材が欲しいけど4:3だったりと結構苦労した。

どうしても欲しい有料素材は勿論購入して使用。これでなんとか素材は揃った。

 

ここまでで約2週間近くかかった。すぐにセットに合わせ編集を始めたんだけど、これが一番のキモだったからとにかく寝る間を惜しんでPCに向かってた。

オーディオ&ヴィジュアルインスタレーションの強みである「音にピッタリと合った映像」を作るために編集はAbleton Liveにて敢行。映像をオーディオデータのように扱えるし楽曲データとともに編集出来るのでとても捗った。

素材自体はiMovieで輝度や色彩を調整しレンダリング後インポートした。

ただ、編集中Ableton Liveがとにかく落ちまくる。特に短いスパンでカットアップしてるとことか。これはレンダリング中も同様で結局書き出しはリリースパーティで自分の出番までに間に合わなかった。

 

今回PCが止まるリスクもあったので楽曲のセットリストは固定して、演奏するパート以外は極力2chマスターにバウンスしたりと工夫した。

映像も同様になるべく軽くなる方がいいだろうと画質が悪くなるが背に腹は代えられぬと高い圧縮率で書き出しを行ったが、ここがまた落とし穴で

音声データのようにmp3などファイル自体のサイズを小さくした方が読み込みも速いと思ってたけど映像に関しては全く逆で、圧縮したファイルを解凍しながら再生するから圧縮率が低い方が再生はスムースなんだと。

 

リリースパーティはここに気付けなかったため、ライブ中2度もPCが止まってしまった。

結局全て映像を再編集した時にPhoto jpegに書き換えたため4/3のライブでは一度も止まらずどうにか終える事ができた。

 

Alleingehen2.0Setを制作するにあたって協力を仰いだのは名古屋在住でVJ(って呼ぶと怒られるかな?)や映像のお仕事をされてるしなさまさん。

彼とは僕がテクノをやってた3年程前に一度大阪で一緒に現場を経験させてもらったが、演出法や映像表現法が本当にすごくって(しなさま祭りと呼ばれてる)その時もスクリーン後方からの単焦点プロジェクタによる映像と正面投射の映像を巧みにミックスされてて本当にすごかった。大きな仕事もされてる方だが恥ずかしいほどド素人な僕に沢山アドバイスをくださった。彼無しでは到底完成できなかったと思う。

 

まあ結果として映像と楽曲に関しては最初から最後まで決まったセットを出力、そこで演奏パートやエフェクトを加える即興性皆無のものでこれからまたトライ&エラーを繰り返し全てを即興で出来るようにしていきたいと思う。ちなみにスモークもフォグマシン一台では到底スクリーン代わりになるほどの煙を出せず今の所はプロジェクターの光が線のようになるくらいの効果しか出なかった。演出法も更に考えていきたい。

 

新たなルート、とても険しいがこれからもどんどんアタックしていきたい。

 

Alleingehen2.0 SETの撮影動画いくつか上げておきます。

instagram.com

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